【5-2】第2節 価格時点の確定 第3節 鑑定評価によって求める価格又は賃料の種類の確定

鑑定基準第5章

本文

第2節 価格時点の確定

価格形成要因は、時の経過により変動するものであるから、不動産の価格はその判定の基準となった日においてのみ妥当するものである。したがって、不動産の鑑定評価を行うに当たっては、不動産の価格の判定の基準日を確定する必要があり、この日を価格時点という。また、賃料の価格時点は、賃料の算定の期間の収益性を反映するものとしてその期間の期首となる。

価格時点は、鑑定評価を行った年月日を基準として現在の場合(現在時点)、過去の場合(過去時点)及び将来の場合(将来時点)に分けられる。

第3節 鑑定評価によって求める価格又は賃料の種類の確定

不動産鑑定士による不動産の鑑定評価は、不動産の適正な価格を求め、その適正な価格の形成に資するものでなければならない。

Ⅰ 価格

不動産の鑑定評価によって求める価格は、基本的には正常価格であるが、鑑定評価の依頼目的に対応した条件により限定価格、特定価格又は特殊価格を求める場合があるので、依頼目的に対応した条件を踏まえて価格の種類を適切に判断し、明確にすべきである。なお、評価目的に応じ、特定価格として求めなければならない場合があることに留意しなければならない。

1.正常価格

正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。この場合において、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場とは、以下の条件を満たす市場をいう。

(1)市場参加者が自由意思に基づいて市場に参加し、参入、退出が自由であること。
なお、ここでいう市場参加者は、自己の利益を最大化するため次のような要件を満たすとともに、慎重かつ賢明に予測し、行動するものとする。
① 売り急ぎ、買い進み等をもたらす特別な動機のないこと。
② 対象不動産及び対象不動産が属する市場について取引を成立させるために必要となる通常の知識や情報を得ていること。
③ 取引を成立させるために通常必要と認められる労力、費用を費やしていること。
④ 対象不動産の最有効使用を前提とした価値判断を行うこと。
⑤ 買主が通常の資金調達能力を有していること。
(2)取引形態が、市場参加者が制約されたり、売り急ぎ、買い進み等を誘引したりするような特別なものではないこと。
(3)対象不動産が相当の期間市場に公開されていること。

2.限定価格

限定価格とは、市場性を有する不動産について、不動産と取得する他の不動産との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格をいう。

限定価格を求める場合を例示すれば、次のとおりである。
(1)借地権者が底地の併合を目的とする売買に関連する場合
(2)隣接不動産の併合を目的とする売買に関連する場合
(3)経済合理性に反する不動産の分割を前提とする売買に関連する場合

3.特定価格

特定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。

特定価格を求める場合を例示すれば、次のとおりである。
(1)各論第 3 章第 1 節に規定する証券化対象不動産に係る鑑定評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合
(2)民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、早期売却を前提とした価格を求める場合
(3)会社更生法又は民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、事業の継続を前提とした価格を求める場合

4.特殊価格

特殊価格とは、文化財等の一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。

特殊価格を求める場合を例示すれば、文化財の指定を受けた建造物、宗教建築物又は現況による管理を継続する公共公益施設の用に供されている不動産について、その保存等に主眼をおいた鑑定評価を行う場合である。

Ⅱ 賃料

不動産の鑑定評価によって求める賃料は、一般的には正常賃料又は継続賃料であるが、鑑定評価の依頼目的に対応した条件により限定賃料を求めることができる場合があるので、依頼目的に対応した条件を踏まえてこれを適切に判断し、明確にすべきである。

1.正常賃料

正常賃料とは、正常価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等(賃借権若しくは地上権又は地役権に基づき、不動産を使用し、又は収益することをいう。)の契約において成立するであろう経済価値を表示する適正な賃料(新規賃料)をいう。

2.限定賃料

限定賃料とは、限定価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等の契約において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料(新規賃料)をいう。

限定賃料を求めることができる場合を例示すれば、次のとおりである。
(1)隣接不動産の併合使用を前提とする賃貸借等に関連する場合
(2)経済合理性に反する不動産の分割使用を前提とする賃貸借等に関連する場合

3.継続賃料

継続賃料とは、不動産の賃貸借等の継続に係る特定の当事者間において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料をいう。

ステップ0

第2節 価格時点の確定

不動産の価格は、時点によって異なるため、鑑定評価ではその基準日を明確にする必要がある。この基準日を価格時点という。

価格形成要因は時の経過により変動するため、評価はその時点でのみ妥当とされる。

価格時点は、現在時点過去時点将来時点に分類される。

賃料の価格時点は通常、期間の期首とされる。

第3節 鑑定評価によって求める価格又は賃料の種類の確定

不動産鑑定士は、評価の目的に応じて価格または賃料の種類を明確にしなければならない。

Ⅰ 価格

基本は正常価格であるが、目的に応じて限定価格特定価格特殊価格がある。

  • 正常価格市場性があり、合理的と考えられる条件の下で形成される市場価値
  • 限定価格:併合・分割などで市場が限定される場合の価値
  • 特定価格社会的要請などにより前提条件が正常価格と異なる価値
  • 特殊価格文化財など市場性を有しない不動産に適用
Ⅱ 賃料

賃料には主に正常賃料限定賃料継続賃料の3種類がある。

  • 正常賃料新規契約において成立するであろう経済価値
  • 限定賃料併合使用分割使用等の条件により限定される賃料
  • 継続賃料既存の当事者間で成立するであろう賃料

ステップ1

第2節 価格時点の確定

価格形成要因は、時の経過により変動するものであるから、不動産の価格はその判定の基準となった日においてのみ妥当するものである。したがって、不動産の鑑定評価を行うに当たっては、不動産の価格の判定の基準日を確定する必要があり、この日を価格時点という。また、賃料の価格時点は、賃料の算定の期間の収益性を反映するものとしてその期間の期首となる。

価格時点は、鑑定評価を行った年月日を基準として現在の場合(現在時点)、過去の場合(過去時点)及び将来の場合(将来時点)に分けられる。

第3節 鑑定評価によって求める価格又は賃料の種類の確定

不動産鑑定士による不動産の鑑定評価は、不動産の適正な価格を求め、その適正な価格の形成に資するものでなければならない。

Ⅰ 価格

不動産の鑑定評価によって求める価格は、基本的には正常価格であるが、鑑定評価の依頼目的に対応した条件により限定価格特定価格又は特殊価格を求める場合があるので、依頼目的に対応した条件を踏まえて価格の種類を適切に判断し、明確にすべきである。なお、評価目的に応じ、特定価格として求めなければならない場合があることに留意しなければならない。

1.正常価格

正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。この場合において、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場とは、以下の条件を満たす市場をいう。

(1)市場参加者が自由意思に基づいて市場に参加し、参入退出が自由であること。

なお、ここでいう市場参加者は、自己の利益を最大化するため次のような要件を満たすとともに、慎重かつ賢明に予測し、行動するものとする。

売り急ぎ買い進み等をもたらす特別な動機のないこと。

対象不動産及び対象不動産が属する市場について取引を成立させるために必要となる通常の知識や情報を得ていること。

③ 取引を成立させるために通常必要と認められる労力費用を費やしていること。

④ 対象不動産の最有効使用を前提とした価値判断を行うこと。

⑤ 買主が通常の資金調達能力を有していること。

(2)取引形態が、市場参加者が制約されたり、売り急ぎ買い進み等を誘引したりするような特別なものではないこと。

(3)対象不動産が相当の期間市場に公開されていること。

2.限定価格

限定価格とは、市場性を有する不動産について、不動産取得する他の不動産との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格をいう。

限定価格を求める場合を例示すれば、次のとおりである。

(1)借地権者が底地の併合を目的とする売買に関連する場合

(2)隣接不動産の併合を目的とする売買に関連する場合

(3)経済合理性に反する不動産の分割を前提とする売買に関連する場合

3.特定価格

特定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。

特定価格を求める場合を例示すれば、次のとおりである。

(1)各論第 3 章第 1 節に規定する証券化対象不動産に係る鑑定評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合

(2)民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、早期売却を前提とした価格を求める場合

(3)会社更生法又は民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、事業の継続を前提とした価格を求める場合

4.特殊価格

特殊価格とは、文化財等の一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。

特殊価格を求める場合を例示すれば、文化財の指定を受けた建造物宗教建築物又は現況による管理を継続する公共公益施設の用に供されている不動産について、その保存等に主眼をおいた鑑定評価を行う場合である。

Ⅱ 賃料

不動産の鑑定評価によって求める賃料は、一般的には正常賃料又は継続賃料であるが、鑑定評価の依頼目的に対応した条件により限定賃料を求めることができる場合があるので、依頼目的に対応した条件を踏まえてこれを適切に判断し、明確にすべきである。

1.正常賃料

正常賃料とは、正常価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等(賃借権若しくは地上権又は地役権に基づき、不動産を使用し、又は収益することをいう。)の契約において成立するであろう経済価値を表示する適正な賃料(新規賃料)をいう。

2.限定賃料

限定賃料とは、限定価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等の契約において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料(新規賃料)をいう。

限定賃料を求めることができる場合を例示すれば、次のとおりである。

(1)隣接不動産の併合使用を前提とする賃貸借等に関連する場合

(2)経済合理性に反する不動産の分割使用を前提とする賃貸借等に関連する場合

3.継続賃料

継続賃料とは、不動産の賃貸借等の継続に係る特定の当事者間において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料をいう。

ステップ2

第2節 価格時点の確定

価格形成要因は、時の経過により変動するものであるから、不動産の価格はその判定の基準となった日においてのみ妥当するものである。したがって、不動産の鑑定評価を行うに当たっては、不動産の価格の判定の基準日を確定する必要があり、この日を価格時点という。また、賃料の価格時点は、賃料の算定の期間の収益性を反映するものとしてその期間の期首となる。

価格時点は、鑑定評価を行った年月日を基準として現在の場合現在時点)、過去の場合(過去時点)及び将来の場合(将来時点)に分けられる。

第3節 鑑定評価によって求める価格又は賃料の種類の確定

不動産鑑定士による不動産の鑑定評価は、不動産の適正な価格を求め、その適正な価格の形成に資するものでなければならない。

Ⅰ 価格

不動産の鑑定評価によって求める価格は、基本的には正常価格であるが、鑑定評価の依頼目的に対応した条件により限定価格特定価格又は特殊価格を求める場合があるので、依頼目的に対応した条件を踏まえて価格の種類を適切に判断し、明確にすべきである。なお、評価目的に応じ、特定価格として求めなければならない場合があることに留意しなければならない。

1.正常価格

正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。この場合において、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場とは、以下の条件を満たす市場をいう。

(1)市場参加者自由意思に基づいて市場に参加し、参入退出が自由であること。

なお、ここでいう市場参加者は、自己の利益を最大化するため次のような要件を満たすとともに、慎重かつ賢明に予測し行動するものとする。

売り急ぎ買い進み等をもたらす特別な動機のないこと。

対象不動産及び対象不動産が属する市場について取引を成立させるために必要となる通常の知識や情報を得ていること。

取引を成立させるため通常必要と認められる労力費用を費やしていること。

対象不動産の最有効使用を前提とした価値判断を行うこと。

⑤ 買主が通常の資金調達能力を有していること。

(2)取引形態が、市場参加者が制約されたり、売り急ぎ買い進み等を誘引したりするような特別なものではないこと。

(3)対象不動産が相当の期間市場に公開されていること。

2.限定価格

限定価格とは、市場性を有する不動産について、不動産取得する他の不動産との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格をいう。

限定価格を求める場合を例示すれば、次のとおりである。

(1)借地権者が底地の併合を目的とする売買に関連する場合

(2)隣接不動産の併合を目的とする売買に関連する場合

(3)経済合理性に反する不動産の分割を前提とする売買に関連する場合

3.特定価格

特定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。

特定価格を求める場合を例示すれば、次のとおりである。

(1)各論第 3 章第 1 節に規定する証券化対象不動産に係る鑑定評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合

(2)民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、早期売却を前提とした価格を求める場合

(3)会社更生法又は民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、事業の継続を前提とした価格を求める場合

4.特殊価格

特殊価格とは、文化財等の一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。

特殊価格を求める場合を例示すれば、文化財の指定を受けた建造物宗教建築物又は現況による管理を継続する公共公益施設の用に供されている不動産について、その保存等に主眼をおいた鑑定評価を行う場合である。

Ⅱ 賃料

不動産の鑑定評価によって求める賃料は、一般的には正常賃料又は継続賃料であるが、鑑定評価の依頼目的に対応した条件により限定賃料を求めることができる場合があるので、依頼目的に対応した条件を踏まえてこれを適切に判断し、明確にすべきである。

1.正常賃料

正常賃料とは、正常価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等賃借権若しくは地上権又は地役権に基づき、不動産を使用し又は収益することをいう。)の契約において成立するであろう経済価値を表示する適正な賃料(新規賃料)をいう。

2.限定賃料

限定賃料とは、限定価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等の契約において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料新規賃料)をいう。

限定賃料を求めることができる場合を例示すれば、次のとおりである。

(1)隣接不動産の併合使用を前提とする賃貸借等に関連する場合

(2)経済合理性に反する不動産の分割使用を前提とする賃貸借等に関連する場合

3.継続賃料

継続賃料とは、不動産の賃貸借等の継続に係る特定の当事者間において成立するであろう経済価値適正に表示する賃料をいう。

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