【7-2】Ⅱ原価法

鑑定基準第7章

  1. 本文
        1. Ⅱ 原価法
        2. 1.意義
        3. 2.適用方法
        4. (1)再調達原価の意義
        5. (2)再調達原価を求める方法
        6. ア 直接法
        7. イ 間接法
        8. 3.減価修正
        9. (1)減価の要因
        10. (2)減価修正の方法
  2. ステップ0
        1. Ⅱ 原価法
        2. 1.意義
        3. 2.適用方法
        4. (1)再調達原価の意義
        5. (2)再調達原価を求める方法
        6. ア 直接法
        7. イ 間接法
        8. 3.減価修正
        9. (1)減価の要因
        10. (2)減価修正の方法
  3. ステップ1
        1. Ⅱ 原価法
        2. 1.意義
        3. 2.適用方法
        4. ① 土地の再調達原価は、その素材となる土地の標準的な取得原価に当該土地の標準的な造成費と発注者が直接負担すべき通常の付帯費用とを加算して求めるものとする。
        5. ② 建物及びその敷地の再調達原価は、まず、土地の再調達原価(再調達原価が把握できない既成市街地における土地にあっては取引事例比較法及び収益還元法によって求めた更地の価格に発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算した額)又は借地権の価格に発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算した額を求め、この価格に建物の再調達原価を加算して求めるものとする。
        6. ③ 再調達原価を求める方法には、直接法及び間接法があるが、収集した建設事例等の資料としての信頼度に応じていずれかを適用するものとし、また、必要に応じて併用するものとする。
        7. ア 直接法は、対象不動産について直接的に再調達原価を求める方法である。
        8. イ 間接法は、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等に存する対象不動産と類似の不動産又は同一需給圏内の代替競争不動産から間接的に対象不動産の再調達原価を求める方法である。
        9. 3.減価修正
        10. ① 物理的要因
        11. ② 機能的要因
        12. ③ 経済的要因
        13. ① 耐用年数に基づく方法
        14. ② 観察減価法
  4. ステップ2
        1. Ⅱ 原価法
        2. 1.意義
        3. 2.適用方法
        4. ① 土地の再調達原価は、その素材となる土地の標準的な取得原価に当該土地の標準的な造成費と発注者が直接負担すべき通常の付帯費用とを加算して求めるものとする。
        5. ② 建物及びその敷地の再調達原価は、まず、土地の再調達原価(再調達原価が把握できない既成市街地における土地にあっては取引事例比較法及び収益還元法によって求めた更地の価格に発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算した額)又は借地権の価格に発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算した額を求め、この価格に建物の再調達原価を加算して求めるものとする。
        6. ③ 再調達原価を求める方法には、直接法及び間接法があるが、収集した建設事例等の資料としての信頼度に応じていずれかを適用するものとし、また、必要に応じて併用するものとする。
        7. ア 直接法は、対象不動産について直接的に再調達原価を求める方法である。
        8. イ 間接法は、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等に存する対象不動産と類似の不動産又は同一需給圏内の代替競争不動産から間接的に対象不動産の再調達原価を求める方法である。
        9. 3.減価修正
        10. ① 物理的要因
        11. ② 機能的要因
        12. ③ 経済的要因
        13. ① 耐用年数に基づく方法
        14. ② 観察減価法

本文

Ⅱ 原価法
1.意義

原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、それに減価修正を加えて試算価格を導き出す手法である。

この手法による試算価格は、積算価格と呼ばれる。

建物や建物と敷地を対象とする場合に適しており、土地のみの場合も適用可能な場合がある。

2.適用方法
(1)再調達原価の意義

再調達原価とは、価格時点において対象不動産を再調達するのに必要な原価の総額をいう。

再調達が困難な場合は、置換原価を用いて評価する。

(2)再調達原価を求める方法

再調達原価は、建設請負方式に基づき、標準的な建設費と付帯費用を加えて算定される。

付帯費用には、資金調達費用や開発リスクが含まれることもある。

  • ① 土地の再調達原価は、取得原価+造成費+付帯費用で求められる。
  • ② 建物及びその敷地の再調達原価は、土地または借地権の価格に加え、建物原価を加算して算定される。
  • ③ 再調達原価の方法には、直接法と間接法があり、資料の信頼性に応じて使い分ける。
ア 直接法

直接法は、資材や労働の単価に基づく積算方式。
補正や時点修正を加えて評価する。

イ 間接法

間接法は、類似不動産や代替競争不動産から評価する方法で、補正と比較を通じて再調達原価を求める。

3.減価修正

減価修正とは、再調達原価から減価分を控除して積算価格を求める処理である。

(1)減価の要因
  • 物理的要因:老朽化、摩滅、損傷
  • 機能的要因:設計不良、設備不足、旧式化など
  • 経済的要因:環境不適合、市場性減退、地域の衰退など
(2)減価修正の方法
  • ① 耐用年数法:経過年数と残存耐用年数をもとに減価額を算定
  • ② 観察減価法:現地調査や周辺不動産との比較で直接減価額を求める

ステップ0

Ⅱ 原価法
1.意義

原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、それに減価修正を加えて試算価格を導き出す手法である。

この手法による試算価格は、積算価格と呼ばれる。

建物建物と敷地を対象とする場合に適しており、土地のみの場合も適用可能な場合がある。

2.適用方法
(1)再調達原価の意義

再調達原価とは、価格時点において対象不動産を再調達するのに必要な原価の総額をいう。

再調達が困難な場合は、置換原価を用いて評価する。

(2)再調達原価を求める方法

再調達原価は、建設請負方式に基づき、標準的な建設費付帯費用を加えて算定される。

付帯費用には、資金調達費用開発リスクが含まれることもある。

  • 土地の再調達原価は、取得原価造成費付帯費用で求められる。
  • 建物及びその敷地の再調達原価は、土地または借地権の価格に加え、建物原価を加算して算定される。
  • ③ 再調達原価の方法には、直接法間接法があり、資料の信頼性に応じて使い分ける。
ア 直接法

直接法は、資材や労働の単価に基づく積算方式。
補正や時点修正を加えて評価する。

イ 間接法

間接法は、類似不動産代替競争不動産から評価する方法で、補正と比較を通じて再調達原価を求める。

3.減価修正

減価修正とは、再調達原価から減価分を控除して積算価格を求める処理である。

(1)減価の要因
  • 物理的要因:老朽化、摩滅、損傷
  • 機能的要因:設計不良、設備不足、旧式化など
  • 経済的要因:環境不適合、市場性減退、地域の衰退など
(2)減価修正の方法
  • 耐用年数法経過年数残存耐用年数をもとに減価額を算定
  • 観察減価法:現地調査や周辺不動産との比較で直接減価額を求める

ステップ1

Ⅱ 原価法
1.意義

原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法である(この手法による試算価格を積算価格という。)。

原価法は、対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効であり、対象不動産が土地のみである場合においても、再調達原価を適切に求めることができるときはこの手法を適用することができる。

2.適用方法

(1)再調達原価の意義

再調達原価とは、対象不動産を価格時点において再調達することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額をいう。

なお、建設資材工法等の変遷により、対象不動産の再調達原価を求めることが困難な場合には、対象不動産と同等の有用性を持つものに置き換えて求めた原価(置換原価)を再調達原価とみなすものとする。

(2)再調達原価を求める方法

再調達原価は、建設請負により、請負者が発注者に対して直ちに使用可能な状態で引き渡す通常の場合を想定し、発注者が請負者に対して支払う標準的な建設費発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算して求めるものとする。

なお、置換原価は、対象不動産と同等の有用性を持つ不動産を新たに調達することを想定した場合に必要とされる原価の総額であり、発注者が請負者に対して支払う標準的な建設費発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算して求める。

これらの場合における通常の付帯費用には、建物引渡しまでに発注者が負担する通常の資金調達費用標準的な開発リスク相当額等が含まれる場合があることに留意する必要がある。

① 土地の再調達原価は、その素材となる土地の標準的な取得原価に当該土地の標準的な造成費と発注者が直接負担すべき通常の付帯費用とを加算して求めるものとする。

なお、土地についての原価法の適用において、宅地造成直後の対象地の地域要因と価格時点における対象地の地域要因とを比較し、公共施設、利便施設等の整備及び住宅等の建設等により、社会的経済的環境の変化が価格水準に影響を与えている客観的に認められる場合には、地域要因の変化の程度に応じた増加額を熟成度として加算することができる。

② 建物及びその敷地の再調達原価は、まず、土地の再調達原価(再調達原価が把握できない既成市街地における土地にあっては取引事例比較法及び収益還元法によって求めた更地の価格に発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算した額)又は借地権の価格に発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算した額を求め、この価格に建物の再調達原価を加算して求めるものとする。
③ 再調達原価を求める方法には、直接法及び間接法があるが、収集した建設事例等の資料としての信頼度に応じていずれかを適用するものとし、また、必要に応じて併用するものとする。
ア 直接法は、対象不動産について直接的に再調達原価を求める方法である。

直接法は、対象不動産について、使用資材の種別品等及び数量並びに所要労働の種別時間等を調査し、対象不動産の存する地域の価格時点における単価を基礎とした直接工事費を積算し、これに間接工事費及び請負者の適正な利益を含む一般管理費等を加えて標準的な建設費を求め、さらに発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算して再調達原価を求めるものとする。

また、対象不動産の素材となった土地(素地)の価格並びに実際の造成又は建設に要する直接工事費間接工事費請負者の適正な利益を含む一般管理費等及び発注者が直接負担した付帯費用の額並びにこれらの明細(種別、品等、数量、時間、単価等)が判明している場合には、これらの明細を分析して適切に補正し、かつ、必要に応じて時点修正を行って再調達原価を求めることができる。

イ 間接法は、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等に存する対象不動産と類似の不動産又は同一需給圏内の代替競争不動産から間接的に対象不動産の再調達原価を求める方法である。

間接法は、当該類似の不動産等について、素地の価格やその実際の造成又は建設に要した直接工事費間接工事費請負者の適正な利益を含む一般管理費等及び発注者が直接負担した付帯費用の額並びにこれらの明細(種別、品等、数量、時間、単価等)を明確に把握できる場合に、これらの明細を分析して適切に補正し、必要に応じて時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って、対象不動産の再調達原価を求めるものとする。

3.減価修正

減価修正の目的は、減価の要因に基づき発生した減価額を対象不動産の再調達原価から控除して価格時点における対象不動産の適正な積算価格を求めることである。

減価修正を行うに当たっては、減価の要因に着目して対象不動産を部分的かつ総合的に分析検討し、減価額を求めなければならない。

(1)減価の要因

減価の要因は、物理的要因機能的要因及び経済的要因に分けられる。

これらの要因は、それぞれ独立しているものではなく相互に関連し、影響を与え合いながら作用していることに留意しなければならない。

① 物理的要因

物理的要因としては、不動産を使用することによって生ずる摩滅及び破損時の経過又は自然的作用によって生ずる老朽化並びに偶発的な損傷があげられる。

② 機能的要因

機能的要因としては、不動産の機能的陳腐化、すなわち、建物と敷地との不適応設計の不良型式の旧式化設備の不足及びその能率の低下等があげられる。

③ 経済的要因

経済的要因としては、不動産の経済的不適応、すなわち、近隣地域の衰退不動産とその付近の環境との不適合、不動産と代替、競争等の関係にある不動産又は付近の不動産との比較における市場性の減退等があげられる。

(2)減価修正の方法

減価額を求めるには、次の二つの方法があり、これらを併用するものとする。

① 耐用年数に基づく方法

耐用年数に基づく方法は、対象不動産の価格時点における経過年数及び経済的残存耐用年数の和として把握される耐用年数を基礎として減価額を把握する方法である。

経済的残存耐用年数とは、価格時点において、対象不動産の用途や利用状況に即し、物理的要因及び機能的要因に照らした劣化の程度並びに経済的要因に照らした市場競争力の程度に応じてその効用が十分に持続すると考えられる期間をいい、この方法の適用に当たり特に重視されるべきものである。

耐用年数に基づく方法には、定額法定率法等があるが、これらのうちいずれの方法を用いるかは、対象不動産の用途や利用状況に即して決定すべきである。

なお、対象不動産が二以上の分別可能な組成部分により構成されていて、それぞれの経過年数又は経済的残存耐用年数が異なる場合に、これらをいかに判断して用いるか、また、耐用年数満了時における残材価額をいかにみるかについても、対象不動産の用途や利用状況に即して決定すべきである。

② 観察減価法

観察減価法は、対象不動産について、設計設備等の機能性維持管理の状態補修の状況付近の環境との適合の状態等各減価の要因の実態を調査することにより、減価額を直接求める方法である。

観察減価法の適用においては、対象不動産に係る個別分析の結果を踏まえた代替、競争等の関係にある不動産と比べた優劣及び競争力の程度等を適切に反映すべきである。

ステップ2

Ⅱ 原価法
1.意義

原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法である(この手法による試算価格を積算価格という。)。

原価法は、対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効であり、対象不動産が土地のみである場合においても、再調達原価を適切に求めることができるときはこの手法を適用することができる。

2.適用方法

(1)再調達原価の意義

再調達原価とは、対象不動産を価格時点において再調達することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額をいう。

なお、建設資材、工法等の変遷により、対象不動産の再調達原価を求めることが困難な場合には、対象不動産と同等の有用性を持つものに置き換えて求めた原価(置換原価)を再調達原価とみなすものとする。

(2)再調達原価を求める方法

再調達原価は、建設請負により、請負者が発注者に対して直ちに使用可能な状態で引き渡す通常の場合を想定し発注者が請負者に対して支払う標準的な建設費発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算して求めるものとする。

なお、置換原価は、対象不動産と同等の有用性を持つ不動産新たに調達することを想定した場合に必要とされる原価の総額であり、発注者が請負者に対して支払う標準的な建設費発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算して求める。

これらの場合における通常の付帯費用には、建物引渡しまでに発注者が負担する通常の資金調達費用標準的な開発リスク相当額等が含まれる場合があることに留意する必要がある。

① 土地の再調達原価は、その素材となる土地の標準的な取得原価に当該土地の標準的な造成費と発注者が直接負担すべき通常の付帯費用とを加算して求めるものとする。

なお、土地についての原価法の適用において、宅地造成直後の対象地の地域要因価格時点における対象地の地域要因とを比較し、公共施設、利便施設等の整備及び住宅等の建設等により、社会的、経済的環境の変化価格水準に影響を与えている客観的に認められる場合には、地域要因の変化の程度に応じた増加額熟成度として加算することができる。

② 建物及びその敷地の再調達原価は、まず、土地の再調達原価(再調達原価が把握できない既成市街地における土地にあっては取引事例比較法及び収益還元法によって求めた更地の価格に発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算した額)又は借地権の価格に発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算した額を求め、この価格に建物の再調達原価を加算して求めるものとする。
③ 再調達原価を求める方法には、直接法及び間接法があるが、収集した建設事例等の資料としての信頼度に応じていずれかを適用するものとし、また、必要に応じて併用するものとする。
ア 直接法は、対象不動産について直接的に再調達原価を求める方法である。

直接法は、対象不動産について、使用資材の種別、品等及び数量並びに所要労働の種別、時間等を調査し、対象不動産の存する地域の価格時点における単価を基礎とした直接工事費を積算し、これに間接工事費及び請負者の適正な利益を含む一般管理費等を加えて標準的な建設費を求め、さらに発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を加算して再調達原価を求めるものとする。

また、対象不動産の素材となった土地(素地)の価格並びに実際の造成又は建設に要する直接工事費間接工事費請負者の適正な利益を含む一般管理費等及び発注者が直接負担した付帯費用の額並びにこれらの明細(種別、品等、数量、時間、単価等)が判明している場合には、これらの明細を分析して適切に補正し、かつ、必要に応じて時点修正を行って再調達原価を求めることができる。

イ 間接法は、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等に存する対象不動産と類似の不動産又は同一需給圏内の代替競争不動産から間接的に対象不動産の再調達原価を求める方法である。

間接法は、当該類似の不動産等について、素地の価格やその実際の造成又は建設に要した直接工事費間接工事費請負者の適正な利益を含む一般管理費等及び発注者が直接負担した付帯費用の額並びにこれらの明細(種別、品等、数量、時間、単価等)を明確に把握できる場合に、これらの明細を分析して適切に補正し、必要に応じて時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って、対象不動産の再調達原価を求めるものとする。

3.減価修正

減価修正の目的は、減価の要因に基づき発生した減価額を対象不動産の再調達原価から控除して価格時点における対象不動産の適正な積算価格を求めることである。

減価修正を行うに当たっては、減価の要因に着目して対象不動産を部分的かつ総合的に分析検討し、減価額を求めなければならない。

(1)減価の要因

減価の要因は、物理的要因機能的要因及び経済的要因に分けられる。

これらの要因は、それぞれ独立しているものではなく相互に関連し、影響を与え合いながら作用していることに留意しなければならない。

① 物理的要因

物理的要因としては、不動産を使用することによって生ずる摩滅及び破損時の経過又は自然的作用によって生ずる老朽化並びに偶発的な損傷があげられる。

② 機能的要因

機能的要因としては、不動産の機能的陳腐化、すなわち、建物と敷地との不適応設計の不良型式の旧式化設備の不足及びその能率の低下等があげられる。

③ 経済的要因

経済的要因としては、不動産の経済的不適応、すなわち、近隣地域の衰退不動産とその付近の環境との不適合不動産と代替、競争等の関係にある不動産又は付近の不動産との比較における市場性の減退等があげられる。

(2)減価修正の方法

減価額を求めるには、次の二つの方法があり、これらを併用するものとする。

① 耐用年数に基づく方法

耐用年数に基づく方法は、対象不動産の価格時点における経過年数及び経済的残存耐用年数の和として把握される耐用年数を基礎として減価額を把握する方法である。

経済的残存耐用年数とは、価格時点において、対象不動産の用途や利用状況に即し、物理的要因及び機能的要因に照らした劣化の程度並びに経済的要因に照らした市場競争力の程度に応じてその効用が十分に持続すると考えられる期間をいい、この方法の適用に当たり特に重視されるべきものである。

耐用年数に基づく方法には、定額法定率法等があるが、これらのうちいずれの方法を用いるかは、対象不動産の用途や利用状況に即して決定すべきである。

なお、対象不動産が二以上の分別可能な組成部分により構成されていて、それぞれの経過年数又は経済的残存耐用年数が異なる場合に、これらをいかに判断して用いるか、また、耐用年数満了時における残材価額をいかにみるかについても、対象不動産の用途や利用状況に即して決定すべきである。

② 観察減価法

観察減価法は、対象不動産について、設計、設備等の機能性、維持管理の状態、補修の状況、付近の環境との適合の状態等各減価の要因の実態を調査することにより、減価額を直接求める方法である。

観察減価法の適用においては、対象不動産に係る個別分析の結果を踏まえた代替、競争等の関係にある不動産と比べた優劣及び競争力の程度等を適切に反映すべきである。

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